全国で も産業廃棄物焼却炉の設置数が多く、その林立によるダイオキシン類汚染の 問題を抱える埼玉県は、来年度をめどに汚染対応の一策として県外産棄物の 搬入に対する事前協議制を導入する方針を固めました。市民・学識者・経済 界・処理業界計8人で構成する県外産業廃棄物事前協議制度懇話会を立ち上 げ、第1回会議を11月11日に浦和市で開催しました。懇話会は今年度中に計3 回会議を開き、詳細な制度内容の在り方について議論します。
事前協議制度を含めた県外産棄物の搬入抑制策は、これまで30以上の道県 で導入されていますが、すべて大都市圏の廃棄物の捨て場・処理場化を嫌う もので、厚生省は広域処理体制の確立を掲げ、「通知」で指導の見直しを求 めています。しかし、今回の埼玉ル−ルはダイオキシン類の発生抑制を促す 一策と位置づけられており、過去のあらゆる事前協議とは質が違います。
事前協議の導入により埼玉県で焼却量が減っても他地域で焼却されるの は必至で、ト−タルのダイオキシン類抑制を考えた時に効果的な施策とは 外から搬入されたと推計、県外のうち 72%は都内からだったといいます。
県の方針によれば、処理能力が 200kg/h 以上の焼却施設を事前協議 の対象とする(対象施設は県内に203)。手続きは、県外の排出業者が排出 の30日前までに、事前協議書を搬入予定の処理施設を管轄する環境管理 事務所へ提出、所長の搬入許可通知を受けることになります。通知を受け ずに搬入した排出業者には勧告または業者名の公表などの処置をとるとし ています。
懇話会は事前協議の是非を検討するのではなく、制度導入を前提にどの ような策が望ましいかを議論してゆきます。この導入により、協議対象と なった廃棄物は協議手続きの書類整備に掛かる手間を嫌って、事業者が可 能な限り埼玉以外の地域に委託する可能性が高まると予想され、首都圏 産棄物の今後の流通を把握する上でも施策の行方は見過ごせない状況です。
資料: 廃棄物新聞 平成10年11月23日号
環境分析センタ− 石澤 牧子
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