1)河川水質の指標を 新たに策定−国土交通省;透視度やにおいを生活重視の指標に国土交通省は来年度、 新しい河川の水質の指標を策定する方針を固めました。従来の人 体への悪影響を念頭においた水質基準のほかに、河川の透視度やにおいといった、生活に 密着する判りやすい指標を導入する考えのようです。同省は市民がレジャーの目的で河川 を利用する際もニーズが多様化している点に注目、新たな指標を @ 河川の美しさ、A水 辺で遊ぶ快適性、B生物の豊かさ、C飲み水の味や安定性 の観点からそれぞれ、透視 度、ごみの有無、水中の酸素量、アンモニア性窒素の量等で評価する考えでいるようです。
また同省は川の利用方法に合わせたモデルをいくつか示し、流域の自治体ごとに選択す る方式を検討しており、「流域の自治体や市民には、緩やかな指標として利用してもらい、 水質改善等の計画の参考になれば」としています。
資料: 7月28日付 日本経済新聞、p. 34
環境計量課 新井 裕之
2)平成13年度全国一級河川の水質現況 国土交通省は昭和33年から一級河川での水質調査を実施し、昭和47年から全国一級河 川の水質調査の結果を取りまとめて公表しており、今回平成13年度での全国一級河川(1 09水系)の水質調査結果の概要がとりまとめられました。水質調査地点は1,093地点で、 環境基準の項目のうち有機汚濁の代表的な水質指標であるBODとCODをみますと、 環境基準を満足している地点の割合は、前年と同じ83%、と近年横ばいの状況です。
また河川の水質は全調査地点の89.2%でBOD75%値が3mg/L以下の良好な水質 となっており、平成12年対比で1.0ポイント増加しました。なおBOD75%値が10gm/ Lを超える汚濁の著しい地点は、全体の0.4%であり、前年の0.9%よりやや減少していま した。また湖沼等での水質ではCOD75%値が3.0mg/L以下の調査地点の割合が54.7 %となり、前年を1.9ポイント上回りましたが、琵琶湖でやや悪化の傾向があるほかは近 年ほぼ同じ数値となっています。
BOD平均値からみた河川の水質ベスト1は尻別川で、ワースト1は綾瀬川でした。 また、BOD平均値が最も悪かった5河川で水質の改善状況を平成3年と同13年で比較す ると、綾瀬川では、平成3年14.7mg/Lが平成13年に6.4mg/Lとなり8.3mg/Lが 減少するなど、5河川で平均30%の改善が認められました。
人の健康の保護に関する項目での調査は、全国の一級河川298地点で実施され、 環境基準を満足できなかった地点は、砒素が2地点、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が 1地点、ふっ素が3地点、ほう素が20地点でした。それ以外の地点ではすべて環境基準 を満足していました。なおふっ素とほう素の投下地点は感潮区間内にあり、海水の影 響を受けたものと推測されます。要監視項目については全国の一級河川383地点で実施 され、すべて指針値を満足していました。
また水質事故は依然として増加の傾向にあり、平成4年との比較では約3倍の事故報 告がありました。事故原因物質は、重油、軽油などの油の流出が最も多く、8割を 占めていました。
資料: 7月26日付 国土交通省HP(河川局河川環境課扱い)
環境計量課 竹下 尚長
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