埼玉県では、昭和49年度か ら地球環境問題の1つに挙げられている酸性雨の調査を開始し、県内11地点で 継続して調査を実地しています。今回平成11年度の調査結果を発表しました。 調査地点は、県内10市と東秩父、浦和の衛生研究所の計12点で、調査項目は初 期降雨のpHと全降雨の成分分析です。

 pHの調査結果から、県内の11地点で降雨採取日数139日中56日に、東秩父に おいても67日中18日に pH 4.0 以下の降雨が観測され、同程度のpHの雨が降 っていることが判りました。

 衛生研究所での降雨成分濃度の推移を昭和61年度から見てみますと、酸性 雨の主な原因物質である硫酸イオンや硝酸イオンはほぼ横ばい傾向にあり、 大気汚染が依然改善されていないと推定されます。ただ、硫黄酸化物につい ては大陸からの移流の影響なども考えられます。

 また、調査地点ごとにおける年間降雨中の各イオン成分の総量(湿性降下 量)の結果では、各イオン成分において地域による差が若干ありますが、県 内の広い地域で相当量の酸性物質が降下しているのがわかります。なお、山 間部の東秩父では近くに発生源がないため、各イオンとも他の測定点よりも 濃度が低くなっています。

 酸性雨による、皮膚の刺激や目の痛みなどの健康被害は昭和51年度以降出 ていませんが、関東地方山間部における樹木の立枯れの報告がなされている ため、県では酸性雨の調査を平野部から山間部にも拡大しています。また、 生態系への長期的影響などを考慮する際には、湿性降下物のほかに乾性降下 物の降下量も含めて調査する必要がありますので、乾性降下物降下量の測 定方法の確立が望まれています。  

 資料:平成12年11月15日付 埼玉県ホームページ

環境技術課 斎藤 詠子  


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