下水道の 普及や浄化槽法改正による合併処理浄化槽の設置義務化により、今後、公共用 水域対策は進むと見込まれています。しかしそれらの施設の整備には時間がか かることから環境庁は来年度の環境省予算概算要求で、台所排水などを簡易な 施設で処理し、生活排水からの汚濁負荷削減を図る「生活排水負荷低減施設導 入推進事業」を行うことを考えています。装置の具体的な内容などはまだ決ま っていないようですが、今後、単独浄化槽が残っている地域や下水道の普及に 時間がかかる地域などでの低コスト生活排水対策としての実現が期待されます。
平成11年度末の汚水処理整備率は69%で、残りの31%は単独処理浄化槽など を使用しており、台所や風呂場などからの生活雑排水は、処理されずに河川な どの公共用水域に流されています。特に人口5万人未満の市町村での汚水処理 整備率は41%と低く、水質総量規制の対象になっていない中小の閉鎖性水域や 湖沼では、水質の改善が進んでいないのが現状です。こうしたことから環境庁 では、生活排水を住宅内などで簡易に処理する設備を開発して、地方自治体の 普及促進策を通じて導入を図ってゆくことを目指しています。
装置のイメージとしては、流し台の下に設置できるものやエアコンの室外機 程度のもので、処理能力も汚濁負荷の3〜4割程度を除去できればいいと考え ており、その分、低コスト化を図って普及につなげてゆくということです。
具体的には、@自動的に固液を分離して固形物だけを取り除くもの、 Aピー ク流量がそれほど大きくない台所排水に着目して2時間程度で微生物処理する 小型タンクのようなもの、B微細気泡を排水中で混ぜることで自然条件下に処 理を促進するもの−などが案として挙がっています。
今後は住宅設備メーカーなどの協力を得て、コストや維持管理性能、スペー ス効率などを検討し、コンセプトを固めてゆくようです。来年度は技術の抽出 と模擬試験、14年度は普及モデルの試作、15年度は実際に家庭で使ってもらう モデル地区でのパイロット事業、16年度以降に導入の促進を図る計画のようです。
資料: 9月26日付 環境新聞
化学分析課 竹下 尚長
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