財団法 人 ビル管理教育センターはこのほど『建築物の多様化に対応した新たなる維 持管理手法の構築に関する研究』の中間報告をまとめました。報告書では、ビ ル管理法の規制対象となる特定建築物を現行の延べ面積 3,000 uから 1,000 uに引き下げ、病院、共同住宅なども対象とするよう求めています。また、 ビル管理技術者の資質向上、貯水槽清掃業などの事業登録の見直しなど抜本的 な提言を展開、平成11年度末に最終報告書をまとめるものです。厚生省はこれ らを受けて、『ビル管理法』の改正について具体的な検討作業を開始すること になります。
ビル管理法(建築物の衛生的環境確保に関する法律)は不特定多数が利用す るビルなどの維持管理につき定めたもので、昭和45年10月に制定され、給水設 備、排水設備、空気環境、清掃、ねずみ・害虫防除などに管理基準を設け、建築物 衛生管理の基本法として機能してきました。規制対象となる「特定建築物」は、 法律制定当初の延べ床面積 8,000 u以上から 昭和48年11月に 5,000 u 以上、昭和51年7月に 3,000 u以上に拡大されています。
一方、「学校」は 8,000 u以上と規制が緩やかなほか、工場、病院、共同住 宅などでは特定用途以外が全体の10%を超える建築物として事実上、規制対 象外にあります。また、建築物の大型化、高機能化が進んだ結果、シックビル など従来の管理形態では対応できない状況となっています。
このため厚生省はビル管理法の改正も含めて制度を見直すことになり、 平成10年度にビル管理教育センターに委託し調査を開始。同センターが研究 委員会の下にビル管理システム、給排水、空気質管理、清掃の四検討部会を 設置し具体的な検討を進め、このほど、中間報告をまとめたものです。平成11 年度にはねずみ・害虫類防除の検討会も設置し、最終報告をまとめるとしてい ます。
中間報告では 病院、社会福祉施設、共同住宅、寄宿舎を「特定建築物」の対象 に加えるとともに、床面積を 1,000 u以上に拡大するよう求めました。 学校については、 3,000 u以上とし、10%除外規定も原則としてなくす 必要があるとしています。
対象範囲の拡大に当たっては規模と用途に応じて救済措置を採るほか、 共同住宅、寄宿舎は共有設備、共通管理項目のみの適用、病院は現行法を原 則とするものの新たな管理手法を設定するなどを提言しています。
資料: 平成12年1月11日付 設備産業新聞
環境調査課 関根 利康
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