硝酸性窒素による地下 水汚染は、食料生産の増大とともに世界的に拡大の傾向にあります。農作物の 窒素肥料や家畜のし尿などから発生して地下水を汚染し、乳幼児の血行障害の 原因ともなり、欧米を中心に死亡例も数多く報告されています。

 硝酸性窒素による汚染は、1996 年の全国調査で調査地点の約5%の井戸水 で水道水の基準を上回る濃度が検出されるなど、深刻化しています。環境庁は 地下水や環境水などの公共用水域の環境基準項目に硝酸性窒素の追加、法規制 にする方向で検討を進めています。しかし、収量に影響を及ぼしかねない規制 の実施には農業サイドからの疑問の声もあり、同庁は8月21日農業への影響を 最小限にしながら環境中の濃度を減らす総合対策を、実施する方針を決めました。

  実施内容:

  1. 全国2ヵ所程度のモデル地域で、肥料と畜産排水による地下水汚染の実態調査を行う。
  2. 1.を基に効果の持続期間の長い肥料の使用や、窒素が地下水までに浸透しにくい作物を導入した連作といった硝酸性窒素の汚染低減計画をつくり、浄化技術の実証試験を行う。
  3. 研究機関や民間企業などからも新技術を募集し、実効性を調べる

   これらの結果を3、4年かけて評価し、国としての総合対策基本方針をまとめ、また都道府県などが地域ごとの対策推進計画をつくる上での指針も示すことにしています。

 地下水汚染の原因の95%以上は化学肥料と家畜の排泄物で占めているとの推定もあり 、農業や土地利用の方法を改善できるかどうかが被害を防ぐカギを握っています。

                                

資料:埼玉新聞、8月22日号

化学分析課 横山



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