大木環境庁長官は7月15日、 「今後の化学物質による環境リスク対策の在り方」を中央環境審議会に諮問、 審議会では従来の対策に加えてより総合的な対策の推進を狙いに本格検討を開 始します。化学物質等の規制等の対策は「化学物質の審査及び製造等の規制に 関する法律(化審法)」「水質汚濁防止法」「大気汚染防止法」での対策を中心 としてきましたが、総合対策の推進では従来の対策に加え、「環境リスク」等 を概念としてOECD(経済協力開発機構)が加盟国に導入への取組みを勧告し ているPRTR(環境汚染物質排出・移動登録)への検討など、新法による対策 のあり方も視野に入れてゆく考えです。

 環境庁では従来化審法による製造・使用規制と水質汚濁防止法等による排出 規制の両面からの対策を講じてきており、成果もあげてきたところですが、いずれも特定物質の、特定経路からの環境中への排出を防ぐ視点に立っています。 これに対し、多種多様の化学物質がさまざまな経路を通じて環境中へ放出されることが多くなった現在では、汚染等のマイナス要素を「環境リスク」として、より総合的な対策も必要になっています。

 わが国では(社)日本化学工業会が94年にPRTRの取組みを始め、97年には 化学物質の排出量の調査結果等をまとめたり、経団連1)でも同年欧米調査団を 派遣してPRTR調査を行ったりしています。こうした中、包括的に汚染管理 する方法等のあり方などにはより多くの手法が考えられる点や、国民・産業界 ・行政の連携にも多くの手法が考えられます。このため、今回の諮問となりま したが、従来こうした手法には制度的規定はなく、検討段階では新法も視野に 入れて考えてゆく予定であり、なお環境庁の事務局では今年中にも審議会報告 を受けたいとしています。

  1. 経団連では産業界で世界初の取組みとして、PRTR の調査結果を公表しました。詳細は週刊廃棄物新聞 7月13日号

資料:日本水道新聞7月20日号

            環境分析センター 石澤


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