環境省は、人が口から直接摂取する恐れのある重金属など9物質に、初めて土壌環 境基準を設定し、11月に省令を公布します。この省令は、中央環境審議会土壌農薬 部会の専門委員会がまとめました。
土壌汚染対策法は、汚染土壌の直接摂取による健康影響、および対象物質によ る地下水汚染の二つを防ぐ法律で、工場や事業所の閉鎖時、用途変更時などに調 査義務がかかります。地下水汚染の基準値としては、26物質を対象に既に公表され ている溶出基準が適用されます。直接摂取の場合の土壌含有基準(個別物質ごとに検 討した結果算定された値)は以下の表のとおりです。
物質 | 数値(mg/kg) | 物質 | 数値(mg/kg) | |
水銀 | 15 | フッ素 | 4000 | |
カドミウム | 150 | ホウ素 | 4000 | |
鉛 | 150 | セレン | 150 | |
ヒ素 | 150 | 遊離シアン | 50 | |
六価クロム | 250 |
その他、省令で定められるのは以下のとおりです。
・調査対象の土地は工場敷地全体とし、原則として100 m2につき1ヶ所の密度でサンプル調査を行う。
・最初の一区画で汚染が判明し、都道府県知事による「リスク管理地」の指定を受け入れる 用意がある場合、 調査の簡略化を認める。
・ 汚染物質が基準値を超えた場合、土地の復旧法として は次の方法を提示
浄化 > 封じ込め > 土壌の入替え > 覆土 >
・汚染原因者か土地所有者は、対策法を自由に選択でき
る。ただし、浄化以外の方法では「リスク管理地」 の
指定が解けない。
また、汚染土壌の有害物資濃度の確定方法は、体内に一度入った物質の一部が体外に排出
されるため、物質ごとに土壌中の含有量から一定量を割引くことが告示で定められます。
来年1月の土壌汚染対策法の施行に伴い、省令に効力が生じます。
資料:9月13日付 日本工業新聞、11面 同24日付 化学工業日報、12面 環境技術課 坂田 旭子
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