農林水産 省は来年度、官民共同のプロジェクトとして、有機性資源の循環利用システム づくりに乗り出します。このプロジェクトは、新たなリサイクル技術の開発と 実用化に向けたモデルシステムを構築するため、「官民共同実証プロジェクト 」を実施するとともに、全国の数市町村を1ブロックとする「リサイクルモデル 地区」を設定してリサイクル施設の整備などを集中的に進めるものです。
プロジェクトの中で、新たなリサイクル技術の開発とモデルシステムの実証 は、「農山漁村におけるエコシステム創出に関する技術開発、木材利用革新的 技術開発促進事業」と「有機性資源循環利用システム技術開発」の2事業です。
エコシステム創出に関する技術開発では、家畜排泄物や木材廃棄物の微生物 利用などを図る有機性資源の革新的適性処理技術と、メタノール化、メタン利 用、土壌改良資材化、飼肥料化などを行うリサイクル技術を開発するのが狙 い。併せて、生産物の生産から廃棄までの過程の環境影響を客観的に調査・ 分析・評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)手法を導入し、環境負荷 低減評価を実用化するため民間と連携した実規模実証研究を実施するもの。
一方の有機性資源循環利用システム技術開発は、堆肥の低コスト製造や 製造工程の環境負荷軽減を実現する革新的な機械などの開発・普及に取り組 むものです。
また、リサイクルモデル地区の事業では、耕種農業、畜産業、食品産業、 都市などが連携して有機性資源の広域リサイクルシステムを確立するものと します。関係者からなる協議会の開催や「有機性資源循環利用マスタープラ ン」の策定など、地域の推進体制を整備するとともに、家畜排泄物、生ごみ、 木材廃棄物、廃プラスチックなどのリサイクル施設の整備を推進します。
資料: 日本経済新聞夕刊、平成11年8月12日号
環境分析センター 石澤 牧子
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