アレルギー 性皮膚炎や頭痛などを引き起こす有害物質、ホルムアルデヒドが衣類や家庭 用品に広く含まれていることが、東京都立衛生研究所、名古屋市衛生研究所 の実態調査で分かりました。すべてではないにしても、ワイシャツなどの形 状安定(記憶)加工された衣類の9割、カーテン、カーペット類の6割から検 出されています。家庭用品規制法に定められいる「肌着類の基準」に当ては めれば、衣類の3割が基準値を越え、通産省の通達に反している商品もあり ます。住宅建材に含まれるホルムアルデヒドは「シックハウス症候群」を引 き起こすとして数年前から問題化していましたが、家庭用品の詳しい調査結 果がまとまったのは今回が初めてです。

 ホルムアルデヒドは、皮膚や目、粘膜などに強い毒性を有し、建材、家具 の接着剤などに使われると室内空気が汚染されることがあり、頭痛やめまい、 吐き気などを訴える人も出てきます。厚生省が 1997 年に基準値を設定し、 業界団体も代替物質を使っての対策が打ち出されました。一方、ホルムアル デヒドは皮膚に接触すると激しいかゆみ、やけどのような炎症を引き起こす ほか、アトピー性皮膚炎を悪化させるおそれがあります。

 「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」(家庭用品規制法)に おいて 75 年、乳幼児用衣類から検出されてはならないと定められました。 大人用でも肌着類は 75 ppm 以下にするよう決められました。通産省は、 ワイシャツなどに使う繊維では 300 ppm を超えないよう通達を出しました。 しかし、それ以外の家庭用品ではほとんど規制がありません。都立衛生研 究所が 97 年までに計 210 点の家庭用品を集め、調査と分析を進めてい ました。

 化学物質アレルギーの専門家、伊藤正俊教授(東邦大学医学部皮膚科) は、これほど多くの家庭用品からホルムアルデヒドが検出され、肌着類の 基準を超える衣料があったことは問題とし、今後規制なども見直す必要が あるとしています。

    資料: 朝日新聞、平成11年5月23日号

重量分析課  内田 陽子


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