厚生省から水質汚染事故 等の発生時に備えた対応策として「水質汚染事故に係る危機管理実施要領 策定マニュアル」が作成されました。このマニュアルは、厚生省が公表し た「平成9年度水道の被害状況等の調査結果」などにより明らかになった水 質事故の発生状況を考慮してまとめられたものです。平成9年度での水質汚 染事故では表流水が他に比べて圧倒的に多く、中でも人為的な油の流失事故 が全体の55%を占めています。このような事故は、年間に80〜100件ほど発 生しているとのことです。このため厚生省では、回避することのできる人為 的な事故には注意を促す一方、事故が発生した場合には対策を徹底すること で事故発生数を減少させてゆく方針です。

 マニュアルの内容は、水質汚染事故の想定として、事故種別、影響規 模、汚染水の到達位置および浄水処理等による除去の可否など、また水質 汚染の早期発見・検知では、水源上流域と浄水場構内等におけるパトロー ルや水質監視機器の設置、水系ごとの広域水源水質監視体制および他機関 との連携を推奨しています。さらに、万一事故が発生した場合でも、状況 判断・緊急措置として対応策や配水系統の変更、臨時の水質検査などを示 しています。情報の収集・伝達では、連絡網の整備や伝達の手段を、また 組織体制では平常時と水質汚染事故発生時について、その他にも広報、教育 訓練、危機管理実施要領の改訂などについても示しており、すでに策定して いる事業体の実施具体例も多数収載しているとのことで、厚生省ではこのマ ニュアルは、策定を指導してゆく場合にも必携のものとして位置づけていま す。

   資料: 日本水道新聞、平成11年3月4日号 

衛生検査課  松本 かおり


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