環境庁は、 猛毒のダイオキシンや、ガソリンに含まれる発癌性物質のベンゼンなどを対象 にした1997 年度の大気汚染モニタリング調査の結果を発表しました。昨年4 月の大気汚染防止法改正を受け、全国の自治体が加わった初の調査でした。大 気中のダイオキシン濃度は、平成10年7月公表の同庁調査分では環境指針値を 超えた例はなかったのですが、今回は調査地点の 21% で指針値を超えていま した。都市部を中心に住宅地など一般環境の濃度は、ごみ焼却場周辺などとほ ぼ同レベルであることも判明しました。同庁は「濃度は健康上直ちに問題とは ならない」としていますが、ダイオキシン大気汚染の広がりを示す結果となり ました。

 調査対象物質はダイオキシン、ベンゼンのほか、溶剤などに使われるトリク ロロエチレン、テトラクロロエチレンなど 19 種類でした。

 ダイオキシンは、測定が実施された全国254地点中、夏と冬とを含め年2回 以上測定など国の条件を満たした 11 都道府県の 68 地点が指針値を超えてい るかどうかが判定対象となりました。超過地点は東京、大阪、埼玉、千葉の4 都府県に集中しています。

 環境別では、一般環境 63 地点の平均が大気1m3 当り 0.55 pg(ピコグ ラム),ごみ焼却施設などダイオキシン発生源周辺2地点が同 0.58 pg, 自 動車の排ガス汚染を生じやすい道路の沿道3地点が同 0.47 pg でした。

 一方、ベンゼンは月1回以上のペースで1年間連続測定した 53 地点中、 26 地点で昨年2月に設定された環境基準値の大気1m3 当り3.0μg(ミク ログラム)を超過。平均濃度も同3.4μg と基準値を超えており、従来とほ ぼ同じレベルの汚染が続いています。                

資料:東京新聞、平成10年12月23日号

重量分析課  内田 陽子 


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