埼玉県では、「水質測定計画」を毎年作成し、河川水や地下水の水質測定を定期的に行っています。河川調査は41河川、89地点で、水質汚濁の代表的な指標とされる BOD や、カドミウム、シアン等の有害物質の測定を実施しています。平成9年度の測定結果は、荒川上流域、入間川流域など秩父と県西部地区を流れる河川の水質は良好ですが、県東部と南部地域を流れる藤右衛門川、東川などの都市型河川は、生活排水の流入などが原因で水質は良くありません。しかし、これらの河川も下水道の整備や工場排水の規制の強化、合併処理浄化槽の普及などにより徐々に改善されるものと思われます。

 地下水調査は、水質汚濁防止法に基づき、山間部を除いた県内全域を対象に、地域の全体的な地下水水質の状況を把握する「概況調査」と、これまでに汚染が確認されている井戸について経年監視を行う「定期モニタリング調査」等を実施しています。

 概況調査として169本の井戸調査を実施したところ、砒素、鉛およびトリクロロエチレンがそれぞれ1本、環境基準値を超過していました。また、46本の井戸の定期モニタリング調査を実施したところ、砒素7本、六価クロム1本、トリクロロエチレン20本およびテトラクロロエチレン12本の計34本の井戸で環境基準を超過していました。

 トリクロロエチレンの価が最高だったのは深谷市人見で、1リットル当たり2.5 mg (環境基準値は 0.03 mg) でした。県では、特に高い数値の出た地点については、原因調査に乗り出すことにしました。

 有害物質のうち、最も検出箇所の多いトリクロロエチレンは揮発性の有機塩素系化合物で、10年ほど前まで金属の洗浄剤などとして利用されていたものです。その後規制化されるに及んで社会問題化しています。過去に何らかのかたちで土壌や地下水を汚染したものと考えられます。本調査は昨年8月から今年3月にかけて井戸水を採取して分析されたものです。       

資料: 彩の国さいたま環境ネットワーク、Aug.,1998
日本経済新聞、平成10年8月14日号

技術開発課 大高和加子
分離分析課 高橋真朋子


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