経済協力開発機構(OECD)に加盟する日米等29カ国は、生物の生殖機能を乱すとされる環境ホルモン「内分泌かく乱物質」の実態解明を目指し、同ホルモンの検出・評価技術に関する国際統一指針の作成に着手しました。新たな環境汚染として国際世論が高まってきたのに対応し、3年後の完成をめざすもの。指針がまとまれば、環境ホルモンに対する各国共・の規制作りも加速すると見られ、化学業界にも影響を及ぼすことになりそうです。

環境ホルモンに対する懸念は日本国内だけでなく、欧米主要国でも急激に強まっており、英環境庁は1月、英国内で環境ホルモンによって雄の川魚の雌化が予想以上に深刻になっているという研究データを発表し、環境保護団体が政府に環境ホルモンの使用禁止を求める騒ぎになりました。米国でも環境ホルモンの影響とみられる事例が相次ぎ、米環境保護局(EPA)は近く環境ホルモンに関する大規模な調査に取りかかる予定といいます。

しかし環境ホルモンについてはまだ不明な部分が多く、各国のデータ比較も満足にできていないのが実情。このためOECD加盟国は、各国の検出・評価方法を共・化させることで一致。地球規模で、汚染の実態を明らかにしていくことにしました。具体的な作業は、環境政策委員会の下に、各国の専門家で構成する特・グループを設置して進められます。OECD筋によれば、同分野の研究で先行している米国の積極姿勢が目立つといいます。  

国際指針がまとまると、次は環境ホルモンに関する国際規制について検討が進む可能性が高い。日本での研究が遅れたままだと、規制議論の主導権を米国などに握られることになりかねない状況のようです。                                                

 資料: 日本経済新聞、5月11日付け夕刊  

技術開発課 渡辺  


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