環境省は1997年度から2000年度にかけて実施した化学物質 の環境リスク評価(スクリーニング評価)の結果(案)をまとめ、中央環境審議会環境保健部会化学物質評価専門委員会 (委員長・鈴木継美東京大学名誉教授)に報告しました。39物質を対象として既存文献に基づき初期段階の環境リスク評 価を行ったもので、生態系影響について今後詳細な評価を行う候補としてディルドリン、フタル酸-2-エチルヘキシル、 ホルムアルデヒドの3物質を選定したものです。
化学物質のリスク管理は化審法やPRTR法で対応していますが、これらは人への健康影響を対象としていて、野生動 物を含めた生態系を対象とした環境リスクはこれまで考慮されていませんでした。このため環境省は環境リスク評価手 法の確立に向けて97年度から2000年度にかけて環境リスク評価のパイロット事業を実施しました。
パイロット事業では環境への排出量が多いと考えられるPRTR法対象物質のうち有害性に関する知見が豊富な39物質 をピックアップし、既存文献に基づいて評価したものです。環境リスク評価は一般毒性に関する「健康リスク」と、生態リ スク(水環境中の水生生物に対する影響)に分けて行われました。なお、内分泌かく乱作用については評価の対象としていま せん。
評価結果(案)によれば、今後詳細な検討が必要とされる物質は、健康リスクではアセトアルデヒド、p-ジクロロベンゼ ン、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、ホルムアルデヒドの4種類。生態リスクではディルドリン、フタル酸ジ-2-エチルヘキ シル、ホルムアルデヒドの3物質だそうです。
これらの物質は、情報の追加収集、生態影響試験、暴露調査など詳細なリスク評価が行われ、その結果、リスク管理が必要 と判断された場合には規制などの対策の検討が行われることになるようです。
資料: 12月14日付 化学工業日報、 p.12
分離分析課 伊藤 博
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