環境省はし尿と浄化槽汚泥の海洋投入に ついて、近く廃棄物処理法に定められている一般廃棄物の海洋投入処分基準を削除するな ど、全面禁止に向けた制度改正を行い、3年以内をめどに施行する予定だそうです。
現行の廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)施行例では、「浄化槽汚泥またはし 尿で、硫酸第一鉄若しくは塩化第二鉄を0.1%以上混入し、または破砕したもの」について は船舶から海洋に投入処分することが許されており、1999年度末の段階で全国180市町村が 実施、全体として、陸上での処理を含めた処理量3300万トンの6.3%を占めています。
一方、国際的にはロンドン条約により海洋投入処分に対する規制が強化される方向にあ り、我が国も「第8次廃棄物処理計画」(1996〜2002年度)の中で、し尿・浄化槽汚泥の陸 上処理を進めるよう市町村に要請していました。今回このような国内外の状況から、一般 廃棄物の海洋投入処分についての規定を削除して全面禁止に踏み切るとともに、@し尿処 理施設の新設、A下水道終末処理施設の活用、B他市町村または廃棄物処理業者への委託 処理、C広域的な処理体制の検討−など、陸上処理への3年以内の完全移行に向けた対策 を進めるようです。
また、海洋投入処分の禁止で経営基盤に影響を受ける海洋投入処分業者への対応では、 例えば同業者が保有する処分船を陸上施設までの運搬船として使うなど他用途への活用を 図るようです。さらに事業転換などでは、合特法(下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理 業者等の合理化に関する特別処置法)に基づく合理化事業計画の対象とし、国や地方公共 団体が海洋投入処分業者の円滑な事業転換に配慮するそうです。
資料:6月13日付 環境新聞、6月15日付 化学工業日報
環境計量課 竹下 尚長
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