おもちゃなど身近な生活 用品の原料に使われるポリ塩化ビニルから、生殖毒性があり、内分泌かく乱化学物質(環境ホ ルモン)の疑いもあるフタル酸エステル類が溶出する問題で、厚生労働省は溶出量に関する安 全基準の設定など、規制についての検討を始めることを決めました。
フタル酸エステル類はポリ塩化ビニルを軟らかくしたり加工しやすくする可塑剤として 広く使われていますが、肝臓や腎臓への毒性、精子形成能力の低下などが指摘されています。 食品衛生法で定められたおもちゃの規格基準改定などについて薬事・食品衛生審議会で議論を 進め、対策を具体化するようです。欧州連合(EU)を中心に、一部のフタル酸エステル類を含む製 品の販売を規制する国は増えており、日本の対応の遅れを指摘する声が出ていました。
国内では、乳幼児が口にするおしゃぶりや歯固めなどの塩ビ製おもちゃに、原料として使 われていたことが確認され問題になりました。同省研究班は生後6カ月から10カ月の乳児を対 象にした研究で、おもちゃを口に入れて遊ぶとフタル酸エステル類が唾液中に溶出して体内に 摂取されてしまうと推定しています。
検討の対象は、多くの塩ビ製品から検出されているフタル酸ジエチルへキシルやフタル 酸ジイソノニルが中心になると見られます。対象年齢に応じ、原料として使用できるかどう かや使用できる場合の溶出濃度基準が課題になりそうです。
資料:6月21日付 埼玉新聞
分離分析課 高橋真朋子
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