地盤改良時にセメント、セメント系固化材を 原因とする六価クロム汚染の懸念があるとして、国土交通省は昨年3月に出していた汚染防止に 関する通達を、一部緩和する方針を固めました。これは実証試験で一定の安全性が確認された ためで、計3回の溶出試験を1回に簡略化することなどが主な内容です。

 地盤改良にセメントなどを使用した場合、セメント材料に含まれる無害の三価クロムが化学 変化し、炎症や神経障害の原因となる六価クロムが発生。土壌基準の0.05 ppm(1 ppmは百万分 の一)を超える土壌汚染を引き起こす可能性があるとされていました。

 旧建設省はただちに、各地方建設局長宛に@溶出試験の実施、A溶出が確認された場合のセ メント配合・工法の変更、B改良土の再利用の制限などの汚染防止処置を通達しました。この 中で、事業主体に対し配合時と施工時、施工後の3段階でサンプルを採取しての六価クロムの 溶出試験を義務付けていました。

 今回、国土交通省では繰返し溶出試験を行った結果、懸念されたような高濃度の溶出、汚染 が起こらないことを確認しました。今後は配合時のサンプルを使った溶出試験のみを実施する こととし、条件の緩和に踏み切ることにしたものです。ただ、六価クロムの生成メカニズムに ついては、まだ完全に把握できたとはいえませんので、今後とも研究は続行の考えです。  

 資料:4月12日付 日本工業新聞

元素分析課 岡田 伸美  


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