環境ホ ルモン作用検査1),2)
 内分泌かく乱物質(環境ホルモン)は、原因物質と生態作用との因果関係 や発現メカニズムなどの科学的知見は十分に得られていません。環境庁がリ ストアップした化学物質のうち一部に根拠が明確でないものやその後の研究 でホルモン作用を否定するデータが多く報告された物質もあり、業界団体な どから批判も出ていました。

 このため化学品審議会内分泌かく乱作用検討分科会では有害性の評価にあ たり、まずはこれまでに発表された国内外の文献が妥当どうか検討を進めて います。これまでにオクタクロロスチレンなどの9物質の文献評価を完了し ており、今後優先的に文献評価を行う物質はビスフェノールAなど6物質です。

 また環境庁は3年がかりでホルモン作用の有無を統一された方法で検査す る作業に着手します。行政がこの種の作業を行うのは世界的にもほとんど 例がありません。環境庁が対象とするのは内分泌かく乱作用が疑われる67 物質のうち、日本での製造実績がない物質などを除いた約40の化学物質で す。検査は化学物質が人の乳がん細胞を増殖させるかどうかを調べる方法 と、化学物質が人の性ホルモンの受容体に結合するかどうかを調べる2つの 方法で行うことを検討します。

  環境中の環境ホルモン3-5)
 三陸沖の北大西洋に生息するキタオットセイの体内に、船底塗料などに使 われた内分泌かく乱物質(環境ホルモン)とされるトリブチルスズ(TBT) などの有機スズ化合物の蓄積が続いている実態が発表されました。  90年日本の使用規制後もTBTは未規制国の船底から流出するなどしていま だに汚染が続いています。

 下水処理場における内分泌かく乱物質の流入・放流状況の調査結果から 流入下水から検出された物質のほとんどが、処理水では90%以上減少して おり、処理場が内分泌かく乱物質の低減に効果をあげていることが実証さ れました。

資料:1)4月18日付 化学工業日報
2)4月19日付 埼玉新聞
3)4月12日付 埼玉新聞
4)4月13日付 日本経済新聞夕刊
5)4月19日付 化学工業日報

 分離分析課 金子 圭介 


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