中央環境審議会環境保 健部会は11月30日、PRTR(環境汚染物質排出移動登録)制度の導入に関す る中間答申をまとめました。同部会ではこの制度の導入に関して、これま でに5回の会合を開き議論を重ねてきました。今回の中間答申では、有害性 があると考えられる化学物質を製造・使用・廃棄する事業者に排出量や廃 棄物としての移動量の報告を義務付けること、環境行政機関が実施や法制 化に主体的役割を果すべきとの提言が述べられています。
対象物質については既存の環境規制の対象物質をも含め、人の健康や生 態系のへの影響を考慮し幅広く選定するとともに、有害性や暴露可能性か ら環境負荷が大きいと見込まれる物質を優先的に選定することが適当とし ました。事業所が報告する内容は、大気、水、および土壌に排出される排 出量と事業場の外部に搬出される廃棄物に含まれる移動量とその事業場名 や所在地等の関連情報です。
企業秘密については「関係する他の法制度との整合を図りつつ、その拡 大解釈ができないような一定ル−ルを定めて公正かつ透明性を確保しつつ 判断できるようにすべき」と指摘されています。個別事業場デ−タについ ても開示の請求があれば可能な限りそれに応ずることとし、それらの情報 が正しく理解されるようリスクコミュニケ−ションの推進に努めるとして います。
一方、通産省の化学品審議会安全対策部会・リスク管理部会では、化審 法改正などによる対応を念頭においての議論を進めており、今後の協議の 行方が注目されます。
資料:廃棄物新聞、平成10年12月7日号
環境分析センター 石澤
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