中央環境審議会水質 部会総量規制専門委員会は1月18日、第5次総量規制に関する委員会報告書 をまとめました。報告書は、近年、指定水域の汚濁原因として生活排水と農 業関係由来のものの影響が比較的大きくなっていることから、指定項目とし て従来のCOD(化学的酸素要求量)に加え、窒素とリンを新たに規制対象 とすることが盛り込まれるほか、指定水域と指定地域もCODと同じものと することがまとまりました。また、具体的な数値については、今秋頃に報告 される模様です。目標達成の期間は2000年度から2004年度とし、2月8日の 水質部会で了承をえてのち、答申としてまとめられる予定です。
「水質総量規制制度」は、人口・産業が集中し、汚濁が著しい閉鎖性水域 について、生活環境保全にかかわる水質環境基準を確保するのを目的に、当 該水域の汚濁負荷量の“総量”を一定以下に削減する制度で、1978年に水質 汚濁防止法と瀬戸内海環境保全特別措置法の改正により導入されています。 規制の対象となる指定水域・指定地域・指定項目は政令で定められることに なっており、第4次総量規制では指定水域として、東京湾・伊勢湾・瀬戸内 海、指定地域として、指定水域に流入する20都府県、指定項目としてCOD が定められています。
今回のまとめにより、汚濁低減の長年の懸案であった生活排水関係と農業 関係分野で、対策が一段と強化されることになります。化学工業分野では、 従来の石油化学コンビナート地域を軸とした対策強化に加えて、肥料や家庭 用化学品、食品関係業界など一層多様な業種が工場排水対策の強化ばかりか 製品開発の分野でも、抜本的対応が今後求められる可能性が出てきそうです。
資料:平成12年1月21日付 化学工業日報 環境計量課 竹下 尚長
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