昨年7月公布のダイオキシン類対策特別措置法が1月15日施行され、同法に よる環境基準、排出基準などの適用が始まりました。政府は排出基準の適用 施設を追加し、規制を強化することで、2002年度までに97年度に比べ総排出 量を約9割削減するとの目標達成を目指しています。環境基準は、環境大気が 0.6 pg/m3、水質は1.0 pg/l、土壌は1000 pg/gと定められました。またこれ らの基準を達成するために、排煙、排水に排出基準も定められました。
排煙の排出基準は、これまで大気汚染防止法、廃棄物処理法で定めていた のと同数値ですが、廃棄物焼却炉では対象施設を焼却能力50 kg/h以上の施 設にまで拡大したほか、亜鉛回収施設、アルミ合金製造施設、鉄鋼業燒結施 設も新たに規制の対象となりました。排水基準は10 pg/l とされ、対象施設 は廃棄物焼却炉、パルプ製造施設、アルミ合金製造施設などが指定されまし た。排煙、排水基準は新設施設には直ちに適用。既設施設については原則と して1年後から適用されますが、それまでは廃棄物処理法などの規制が適用 されます。
特別措置法の施行に伴い、建設省では河川の水質と底質の調査を1〜2月に 行います。また通産省も来年度からダイオキシン類排出実態調査に予定して いた排ガスに排水を加え、調査対象も従来の4分野に数分野を加えて排出削 減を促す考えです。
さらに措置法には環境調査で基準を達成できない場合、都道府県は住民 の意向などを受けて地域を指定し、法律よりも厳しい排煙、排水基準を設 定できるとする「総量規制」を盛り込んでいます。仮にこれが適用される と、それまで基準を満たしていたのに適用後は基準を超えるということも 考えられます。しかし、同法には規制をかける地域を指定する際の細かな 施行令が定められていないなど不明な部分も残しています。いずれにして も規制対象施設をもつ事業者は、施設の運転管理や改修などの維持管理、 また自主測定などを計画的に行い排出管理をしてゆくことが重要になって ゆくと考えられます。
クロマト研究課 須永 晃央
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