東京都のごみ中間処理施設 「杉並中継所」周辺住民に目やのど、皮膚の異常など健康障害が多発してい る「杉並病」問題で、都の調査委員会はこのほど、1996年3月から8月までの 発症は所内の汚水槽から発生した硫化水素が原因とする報告書を発表。都は 「因果関係が判明すれば補償などの措置を講ずる」として当時発症した住民 46人を調査する方針です。住民側は中継所が原因であることを都が認めた点 は「評価すべきだ」としていますが、「被害は続いており、他にも大気汚染 の原因物質が出ている」と反発しています。

 調査委員会によると、中継所は96年2月に試験稼動して以来、汚水を「床 排水槽」に長期間放置、ごみの中の有機物が腐敗して硫化水素が発生。処 理法が改善された96年7月まで硫化水素は下水道に排出されて気化し、付近 の住宅地に放出されたとしています。また、同時期に、施設に隣接する公 園で樹木の添え木の防腐剤としてクレオソート油2トンを使用した影響も 否定できないとしています。なお他の化学物質などは、健康不調の原因と して説明できる濃度ではなかったといいます。

 杉並区によると、この中継所周辺で健康不調を訴えた住民は、硫化水素 が発生した時期以外の発症を含めて121人。山田宏区長は「都に被害者対 応を速やかに講ずるよう求める。4年前から区が(硫化水素について)指 摘しているのに、都が一貫して否定してきたことに強い憤りを感じる」と 話しています。  

 資料: 平成12年4月14日付  埼玉新聞

 計測課 島崎 鉄男   


コンテナ・記事目次へ


Copyright (C) Naitoh Environmental Science Co., Ltd.
webmaster@knights.co.jp