土地所有者らに汚染の調査と除去などを義務化 環境省の中央環境審議会は1月25日、土壌汚染対策の新制度をまとめ、川口環境相に答申しました。工場を廃止 したり跡地を宅地などに転用する際に土地所有者に調査を義務付け、汚染が見付かった場合は所有者に対策をとら せることが柱になります。環境省は答申を受け2月8日に閣議決定し、今国会に法案を提出、来年1月1日の施行を目 指します。工場跡地を再開発する事業者は対応を迫られます。
対象は有害物質を扱う工場などを廃止したり、跡地を住宅地や公園などの用途に変更する場合。工場跡地で既 に住宅地になっている場所などは対象外になります。土地所有者は土壌調査を実施、結果を都道府県に報告します。 水銀や砒素など有害物質が新たに定める基準値を超えて検出された場合は、都道府県が汚染個所の所在地や管理状況な どを台帳に登録して公開します。さらに都道府県は土地所有者に対し、安全対策をとることを命令します。土地所有者 に汚染責任がなく、土壌を汚染した者が特定できる場合には、汚染者が安全対策をとる義務を負います。有害物質が除 去できた場合には登録を解除しますが、覆土や舗装などでは汚染個所として登録されたままになります。法案では除去 命令に違反した場合、1年以下の懲役、又は100万円以下の罰金を科す見込みです。
本来は土壌を汚染した者が処理責任を負うべきであるものの、汚染者が特定できない場合は、所有者に処理を義務 付けることで対策を早めることとしたものです。ただ所有者の負担が大きくなるために、国や産業界が出資して約5億円の 基金を設け、費用の一部を補助する予定です。所有者の負担能力が低い場合は本人負担が1/4程度になる見込みです。しか し、産業界は基金への出資に難色を示しています。
資料:平成13年12月17日付 化学工業日報、 p.12
環境分析センター 石澤 牧子
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